水戸地方裁判所 昭和39年(ワ)8号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実〕 四、原告の認否および再抗弁
本訴提起のときは本件各貸金弁済期より既に一〇年以上を経過していたこと(編者注・債権の消滅時効期間)は認めるが、次の各事由により消滅時効は中断された。<中略>
(2) 原告はこれより先の昭和三四年九月二八日に、本件と同一の貸金およびその附帯の請求のため、被告を相手方として水戸地方裁判所に訴を提起し、同訴訟は同裁判所同年(ワ)第一一一号事件として係属していたところ、昭和三八年七月三〇日の口頭弁論期日に当事者双方不出頭のままその後期日指定の申立をしなかつたため、民事訴訟法第二三八条により同年一〇月三〇日をもつて訴の取下があつたものと看做された。
しかし裁判上の請求には催告が包含せられ、後に訴の取下がなされても、訴の提起からその取下に至るまでの間は催告が継続しているものと見ることができ、したがつて訴の取下後六ケ月内にさらに裁判上の請求がなされたときには時効中断の効果を生ずるものと解すべきである。
ところで原告は右のように昭和三八年一〇月三〇日に訴の取下があつたものと看做されるまで被告に対する裁判上の請求により催告を継続し、その後六ケ月以内の昭和三九年二月一二日に再度本件訴訟を提起したから、これによつて消滅時効は中断されたものである。
五、被告の認否
原告の再抗弁事実のうち、その主張の前訴の請求が本件と同一であつたこと、そして同訴訟が原告主張の時期に休止満了により取下の効果を生じたことは認めるが、その余は争う。
〔判決理由〕さらに原告は再抗弁として、本訴の提起により時効が中断された旨主張するところ、原告が被告を相手方として昭和三四年九月二八日に水戸地方裁判所に提起した前記訴訟事件の訴訟物が本件と同一であつたこと、そして同事件が昭和三八年一〇月三〇日をもつて休止満了により取下と看做されるに至つたことはいずれも当事者間に争いがないから、この事実からすれば右取下と看做されたときまでは本件各貸金債権につき原告の被告に対する催告が継続していたものと解すべきが相当であり、そしてその後六ケ月以内である昭和三九年一月二三日に本訴提起を見るに至つたわけであるから、これにより時効中断の効果が生じたものと認めなければならない。したがつて原告の右再抗弁は理由があることとなる。(土屋連秀)